なんだって今日も朝は美しい
ゆく日もゆく日も
まいにち冷たい朝に起きて
果たしてこの努力がなにになるの?
と思いながらも、すり硝子の窓に
外の様子が映るとどうしてもそちら側へ
行きたくなるのはなぜなのだろう?
着替えて、顔を洗って、化粧をして。
余裕があれば珈琲が飲みたい。
でも願いは叶わずギリギリに家を出て
はぁ、と息を切らしながら電車に乗り込む。
またゆく日は
冷たい朝に畳の部屋の布団の上で目覚め
深夜にそっと帰ってきたのであろう
頭まで布団をしっかりかぶった大きな人を確認し
あぁ、このまま寝ちゃいたい。
なんて思いながら襖の先にいる早起きな人に
「おはよう」と挨拶をし
毛布にくるまりながらソファに座り
半分眠っている中「白湯ちょうだい」
と頼んでみて。
親切につくってくれた白湯を飲み込んだら
また着替えて、顔を洗って、化粧をして。
よし、もう出るか。と誰もいないリビングの
電気を消して、布団を片付け、荷物をまとめる
まだまだ気持ちよく眠っている人をまたいで
キンと冷えた外に出ると。
八百屋に荷物を運ぶおばちゃんが道を邪魔したり
空にポッと富士山が見えたり
そんな朝の電車のホームは素敵で
生活を感じさせるマンションのベランダと
枯れた木々の隙間に、人が堂々と通る青い橋。
そして電車に乗り込むのだ。
なんだって、今日も朝はぼんやりと美しいのだ。